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「奈良民報」政治評論
若草山周辺は景観保全が原則

知事は「移動支援機能」計画中止の英断を

 荒井正吾知事は8月初めの定例記者会見で、若草山へのモノレール設置計画について、「バスの
運行案を中心に検討を進めるよう方向転換する」と表明しました。同時に「なぜ(構造物が)よくないのか、ダメな理由がわかれば計画を断念する」とも述べました。

 若草山周辺は奈良公園の「核心」地域

 奈良は、東大寺の廬舎那仏(大仏)に代表される華厳宗、玄奘三蔵が修得した仏教経典により開かれた法相宗など、仏教教理の研さんと国家の護持を祈願した「南都六
宗」が今日まで連綿と栄えてきた宗教都市です。奈良公園は、仏教、神道の寺社と若草山などの自然が優れた文化的景観を創りだしている核心地域です。
 若草山は、鹿の採食や山焼きで草原が維持され、隣接する春日山原始林との緑のコントラストが美しく、室町時代から「南都八景」の一つとして賞賛されてきました。近年でも、若草山は新緑の緑の山、山焼きの炎の赤い山、白雪かぶる白い山など「五色の山」と歌われています。春日山原始林は、都市にありながら照葉樹などの巨樹・巨木、寒地性植物群と亜熱帯植物群が共生する森林となっています。

 奈良公園は「こころのふるさと」

 奈良公園とその周辺では、宗教儀式や行事が盛んに行われ、市民の生活や精神のなかに「心のふるさと」として生き続けています。
若草山山頂にある鶯塚古墳からは船形埴輪が出土し、『続日本記』には、遣唐使が春日山麓で航海の安全を祈願したという記述が残されています。重要無形民俗文化財に指定されている「おん祭り」は、平安時代後期、飢饉や疫病から人々を助けるため、春日若宮が造営され、神を田楽・舞楽・大和舞などの芸能でもてなしたのが始まりです。
 室町時代、南都の人々が「雨乞い」を祈願するため、春日大社から興福寺南円堂まで燈籠をかかげ、火を神に献上したのが起源とされる「万燈籠」が受け継がれています。

「バス案」も景観壊し法的に許されない

 このように、この地域は、自然と文化が融合して1300年も保たれてきました。そこには多くの先人の努力がありました。こうした歴史の積み重ねのうえに、「文化財保護法」「古都保存法」などに指定され、「世界遺産」にも登録されました。
 それらの法律や世界遺産では、何かを付加するのでなく、現状を厳格に保護・管理・規制しています。たとえば、奈良市歴史的風土保存計画では「丘陵とその稜線における工作物の新築等、土地形質の変更、木竹の伐採等」を規制し、「森林美の保存」を求めています。
バス運行でも舗装やガードレール、標識などの設置が考えられます。バス運行は、鹿の移動経路をはじめ生態系や景観、若草山そのものへの影響が考えられます。こうしたことを考えれば、バスをはじめ「移動支援機能」の代替案も検討する余地はありません。

 知事は良識発揮し計画取りやめの英断を

 日本共産党県議団が取り組んでいる「くらしのアンケート」の回答でも、「もっと違った方法で奈良を世界にアピールするべき」(30代、男性)、「長崎グラバー邸が好きで何度も行ったが、グラバー邸までの坂道に『斜めに動くエレベータ』ができて、以前の良さが全くなくなってしまった。その後、行く気になれない。若草山も同じではないか」(60代、女性)などの意見が寄せられています。
 知事は、モノレールの「正当性」を示そうと、スイスのレーティシュ鉄道や石清水八幡宮(京都府)、宇佐神宮(大分県)のケーブルなどの例をあげていますが、どれも若草山の中に構造物を持ち込むものとは全く次元が異なる的外れなものばかりです。
 奈良県自身が作成した「奈良公園基本戦略」(2012年)でも、奈良公園の価値を「自然資源、歴史・文化資源、公園資源、及び各資源が融合した独特の風致景観」としています。移動支援機能の導入をめざすことは、この「独特の自然景観」を壊し、誘客の障害になるという矛盾を考えるべきです。バリアフリー化や「にぎわい」づくりは、全体の中で、市民とともに考えていくべきです。
 知事は、国でさえ否定せざるを得ない「若草山への移動支援機能の導入」取りやめを英断すべきです。
 


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